先日、Autodesk Forma の提供の一環として、データと AI がどのように次世代の建築設計を形作るかをテーマにした、パネルディスカッションを開催いたしました。Nordic Office of Architecture の最高技術責任者(CTO)である Knut Ramstad 氏、CannonDesign の最高情報責任者(CIO)である Brooke Grammier 氏、そして UN スタジオのアソシエイトデザインディレクターである Harlen Miller 氏をパネリストとして迎え、新しいテクノロジーと働き方について活発なディスカッションを行いました。
なぜ今この話題を取り上げるのでしょうか?変化が加速し続ける中、建築設計は急速な都市化や人口増加、気候変動など、社会が直面する大きな課題の中心になっています。それと同時に、建築・エンジニアリング・建設(AEC)業界や建築設計自体に求められることも変化しています。規制の強化などによってプロジェクトは複雑化し、スケジュールや予算が圧迫されています。また、人材不足も、すでにリソースに制約のあるチームの負担となっています。
データ、AI、機械学習の普及によって生まれた明るい側面は、建築家がより効果的かつ効率的に作業できるように支援することで、彼らがこれらの問題に取り組めるようになることです。プロセスの改善から、違う場所にいるチームが連携するためのワークフロー、さらにはプロジェクトの契約構造まで、取り組むべき問題は多岐にわたります。
デジタル・ソリューションだけではなく、新たなテクノロジーの導入も企業にとって問題になる可能性があります。ただし、良い面もあり、建築家は製図テーブルから CAD の活用、そして BIMへと移行を続けるテクノロジーの変化の最前線に立つことで、業界のデジタル変革をリードしています。
今回のディスカッションでは、多くの収穫がありました。その中から、データと新たなテクノロジーの時代において次世代の建築設計が発展するうえで、潜在的な機会となる 3点を紹介したいと思います。それだけでなく、この 3 点はソフトウェア・プロバイダーである私たちにとって、将来的な成果に集中する新しい方法で AEC 業界をサポートする機会でもあります。
データのフル活用が新たなチャンスをもたらす
Knut Ramstad 氏によれば、どのプロジェクトでも非常に多くのデータが生成されているものの、分野や段階を超えて失われているそうです。しかし、このデータをより良い方法で使用できる可能性があると、彼は語りました。データセットは大切にするべきであり、データによって接続された分野横断的な戦略は、コラボレーションの興味深い可能性を開くことができます。特に、デジタル設計プロセスがプロジェクトの構築側に軸足を移す場合にはそうです。そこで、Harlen Miller 氏は建設業界のデジタル化とスピードを高める可能性を示唆しました。建築家がツール、ソフトウェア会社、プロセスに関係なくデータにアクセスできるようにすれば、作業の断片化が減り、データを最大限に活用できるようになります。Brooke Grammier 氏は「テクノロジーを利用して、プロジェクトに関わる全員がアクセスできる、始まりから消滅まで建物と共に歩む生き生きとした設計モデルによって、プロセス全体をより効率的にすることが夢です。」と述べました。
自動化によって、建築の個人的な側面に多くの時間を割けるようになる
卓越した建築を通じてより持続可能な社会を築こうとしている建築家を、テクノロジーでサポートするべきです。ただし、建築設計の方法と実践には人間味が必要です。建築家がやりたがらない手動の日常業務を自動化することで、クライアントと一緒に深く考えながらイノベーションを起こしたり、問題を解決したりするなど、彼らが楽しめることに多くの時間とエネルギーを注ぐことができます。Harlen Miller 氏は、建築とはサービスであることを前面に押し出すことが必要であり、技術的なロジスティクスではなく設計プロセスに人間的な側面を取り入れることで、さまざまなチャンスを獲得できると語りました。最後に Knut Ramstad 氏は、「新しいテクノロジーを使うことは、クライアント、ユーザー、ステークホルダー、チームでの作業など、素晴らしい人間関係を作ることにつながります。人々を設計プロセスに招き入れることで、プロジェクトに対する透明性、関与、熱意が向上します。」と述べました。
人材と継続的な教育が、建築設計の将来性を高めるカギ
現在、建築家はコーディングやデータ分析から行動心理学の理解まで、過去にはなかったスキルセットを必要としています。建築事務所にとっては、優れた設計スキルとテクノロジーへの深い理解をバランスよく備えた人材を見つけることが重要です。建築事務所が継続的な教育と新しい人材の確保に積極的に取り組むことで、スタッフが常に新しいテクノロジーのトレンドに対応できるようになります。また、継続的な教育によって、新しいテクノロジーは人々の仕事を奪うものではなく、むしろ作業を向上させるものであることを理解してもらえるでしょう。また、旧世代の建築家と、新しいテクノロジーに慣れている新世代の建築家の間で、指導力の関係を進化させる機会も生まれます。ソフトウェアがより使いやすく、直感的で自動化されており、すべての建築家にとって参入障壁が低くなっていることも良い点であると言えるでしょう。
執筆:建設・エンジニアリング・建築部門 設計ソリューション担当 エグゼクティブ バイス プレジデント/エイミー・バンゼル
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