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オートデスク ニュース

Autodesk、モノづくりの実態に関する「2024 年度版 デザインと創造の業界動向調査」を発表

3 割の日本企業で AIの積極導入が進んでいることが明らかに

米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/代表取締役社長兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト)は本日、モノづくりの実態に関する『2024 年度版 デザインと創造の業界動向調査』を発表しました。

今年で 2 回目となる本調査レポートは、世界の 4 地域(北米・中南米、欧州、中東、アジア太平洋)に拠点を置く、建築・エンジニアリング・建設・オペレーション、設計・製造、メディア・エンターテインメント各業界のビジネスリーダー、未来学者、専門家 5,399 名を対象に、前述の各業界について現状を詳細にまとめたものです。これらの業界では、世界で 3 億人近くの雇用が現在生み出され1、その市場価値は 2027 年には世界で 30 兆ドルに達します2

本調査レポートでは、現在最も喫緊のビジネス課題を特定し、ビジネスリーダーが将来に向けて投資できるよう支援します。そして今回の調査により、ビジネスリーダー、未来学者、専門家たちの中に、ビジネスレジリエンス、業績に関する自信の高まり、そして生産性やサステナビリティを強化できるツールとしての AI の信頼性の向上といった楽観的な展望があることが判りました。業界の専門家がトップに挙げた懸念事項は「コスト管理」で、「アップスキリングやデジタル成熟度の向上」が従業員や会社にとっての優先事項として浮上しました。

グローバルにおける主な調査結果

  • モノづくり産業のデジタル化が転換期に:各業界において、デジタル トランスフォーメーションの取り組みが良い結果を生んでおり、デジタル トランスフォーメーション投資が重視されている
  • AI に対する信頼性が向上し、活用が広がる:「AI Awakening(AI の目覚め)」がすでに始まっており、半数以上の企業が AI 導入の目標達成間近、またはすでに達成したと回答
  • AI は「力になる」:従業員の高齢化や離職、組織のリーン化に直面する企業にとって AI が従業員のバーンアウト(燃え尽き症候群)を解決に導く
  • アップスキリングがすべての世代で重要:雇用主にとってスキル人材の確保は企業が成長する上で最大の障壁となっている
  • サステナビリティが当たり前の前提に:ビジネスリーダーは、短期的、長期的なビジネスの成功に向けサステナビリティを重視。よりサステナブルな会社となるための手段としてトップに挙げられたのは AI

今回の調査結果に対し、Autodesk の社長 兼 チーフ エグゼクティブ オフィサー(CEO)アンドリュー・アナグノストは次のように述べています。

「キャパシティや経済的制約が業界の話題を独占する中、お客様がよりコストパフォーマンスが高く、効率的になることを目指す上で、AI、デジタル トランスフォーメーション、サステナビリティに対する信頼感と楽観的な見方が増すのは驚くべきことではありません。世界がかつてない課題に直面している今、テクノロジーは、より良い世界をデザイン・創造するための強力なツールになります」

 

業績を左右するテクノロジーへの積極投資

グローバル全体では、デジタル成熟度の高い企業はデジタル投資水準の低い企業より高い業績を上げていることが示されています。また、企業のビジネスリーダーは、デジタル トランスフォーメーションが企業の競争力を強化し、生産性、収益性、連携の改善につながっていると考えています。その結果、デジタル化によるビジネスレジリエンスの向上が期待されます。さらに、ビジネスリーダーの 73% が、将来の予期せぬマクロ経済的・地政学的変化に自社が対処する準備ができていると回答し、2023 年の調査結果から将来に対して自信を持っている企業の割合が 14 ポイント増加していることが判りました。

グローバル全体の結果

  • ビジネスリーダーの 64% が、自社のデジタル成熟度は高いと回答
  • ビジネスリーダーの 72% が、昨年自社が予想を超えるパフォーマンスを達成したと回答

一方で、日本はテクノロジーへの投資を大幅に増加した企業は約 1 割と、デジタル投資水準がグローバルと比較して低い結果となりました。また不確実な未来に直面する準備ができていると回答した日本企業は 44% と、グローバルと比較してレジリエンスの低さは一目瞭然です。今回の調査結果では、日本の企業が直面している重要課題の一つに「データの自動/技術の進歩/デジタル化」があげられており、昨年の調査から重要課題に変化がなく、あまり改善されていないことが読み取れます。

しかしながら、グローバルパンデミックや地政学的混乱などを経て、日本企業の 76% が業界の変化についていけていると実感しています。昨年の調査と比較し、将来に対して自信を持っている企業が増加傾向にあることが判りました。また、日本のビジネスリーダーや専門家に過去 3 年間の自社の業績について尋ねたところ、予想を上回ったと評価した回答者は右肩上がりで増加しており、企業の業績は継続的に改善しています。これらの結果からも、日本市場に楽観的な見方が戻りつつあることが伺えます。

日本の結果

  • 回答者の 14% がプロジェクト成果を向上させるためのテクノロジーへの投資を大幅に増加したと回答
  • 直面している課題のトップ3は2023年の調査と同様に、「人材の獲得、トレーニング、維持(44%)」「コスト管理(34%)」「データの自動化/テクノロジーの進歩/デジタル化(27%)」
  • 業界の変化についていけている日本企業は 76%
  • 会社の業績が平均を上回ったと回答(2020 年:31%、2021 年:37%、2022年:45%)

 

AI に対する信頼性が向上し、活用が広がる

AI に対する信頼が高まり、各業界で AI がデジタル トランスフォーメーションの推進力になっていることが明らかになりました。企業は AI を活用して生産性の向上や業務の自動化を図っており、今後数年間で、物理的な製品や建物、デジタルアセットに関する重要な設計上の判断に生成 AI が活用されるようになるとビジネスリーダーらは予測しています。

グローバル全体の結果

  • 回答者の 4 分の 3 以上(76%)が、自身の業界では AI を安心して利用できると回答
  • 回答者の 78% が、自社が AI に関する適切な判断を下すことに確信を持っている
  • 回答者の 72% が、自社が過去 3 年間に AI などの新興テクノロジーに対する投資を拡大したと回答
  • 回答者の 3 分の 2(66%)が、AI は今後 2~3 年の内に社内全体で欠かせなくなると回答
  • 回答者の 77% が、AI などの新興テクノロジーへの投資を今後 3 年間継続すると回答

日本でも半数以上の企業が AI 技術を信頼し、業界を強化し、よりクリエイティブにするテクノロジーだと同意しています。また、回答者の 4 割超が 2~3 年の内に AI が全面的に不可欠になると考えています。

現在、日本では約 3 割の企業で AIの積極導入が進んでいます()。グローバルの AI 導入進捗(56%)と比較して、日本はやや後れをとっているものの、大きな差がない結果となりました。また、日本のビジネスリーダーや専門家の約半数が「自社が AIに関して正しい決断を下す」と確信しており、AI 導入に前向きであることが判りました。

日本の結果

  • 日本企業の 51% が、AI 技術を信頼しており、自社が AI に関して正しい決断を下すと確信している
  • AI が業界を強化することに同意しているビジネスリーダーや専門家は 55%
  • 56% の回答者が、AI によって業界がよりクリエイティブになることに同意している
  • 2~3 年後には AI が全面的に不可欠になると考えている日本企業は 43%
  • 回答者の 19% が、AI はユビキタスであり、あらゆる分野で採用されるだろうと考えている回答者の 31% が、AI は業界を不安定化させると回答

(※)参考:日本における AI の導入進捗

 

人材育成における AI の採用

急速に変革が進む中でスキルギャップが拡大し、 モノづくり産業のビジネスリーダーは引き続き人材不足に悩んでいます。

人手不足の中、リーンな体制で業務を処理し、従業員がより意味のあるクリエイティブな作業に時間を割けるようにし、スキルギャップを埋めるために AI を活用できるのではないかと考えられています。

グローバル全体の結果

  • 回答者の 78% が、AI が業界を強化すると回答
  • 回答者の 79% が、AI により業界の創造力が強化されると回答
  • 回答者の半数近くが、AI が生産性の向上に貢献すると回答
  • 回答者の 39% が、AI により平凡な繰り返しの作業が自動化されると回答
  • 回答者の 3 分の 1 以上(35%)が、AI がスキルギャップを埋めるのに役立つと回答
  • 進捗の手応えが感じられており、回答者の半数以上(56%)が、AI 導入の目標達成間近、または達成したと回答

現在、企業はコスト課題に直面し、リーン化、効率化を迫られています。人材が不足し、スキルギャップが広がり、すべての世代の従業員にとって継続的な学習が非常に重要となっています。また、OJT のリソースが不足する中、企業では技術教育がますます重要視されています。

グローバル全体の結果

  • 回答者の 41% が、今後 3 年間における採用選考で最も重視する技術スキルは AI を活用して仕事をする能力と回答
  • 回答者の 38% が、過去 3 年間の課題のトップとして離職率の増加を挙げた
  • 回答者の半数近く(43%)が、高いスキルを持つ人材の獲得が企業の成長の障壁になっていると回答
  • 企業の 77% が、スキルアップやトレーニングが重要だと考えている一方、社内研修プログラムの構築に必要なスキルやリソースのある企業は 38% にとどまっている
  • 回答者の 71% が、人材を引き付けるトップ要因としてデジタル成熟度を挙げている
  • 企業が求める上位 3スキル
    • AI を活用して仕事をする能力
    • デジタルデザインに関するスキル
    • デジタルプロジェクト管理に関するスキル

日本でも従業員のスキルアップを重要視している一方で、約 4 割が社内研修プログラムを設計するのに必要なスキルやリソースが組織にはないと回答し、企業が組織特有のシステムやプロセスについて従業員を効果的に研修することが困難な状況です。しかし、このような制約があるものの、継続的な学習を実施し、デジタルスキルのトレーニングプログラムに投資している日本企業も 4 割強いることが調査結果から判っています。

日本の結果

  • 日本の回答者の 66% が、スキルアップは会社にとって重要だと考えている
  • 37% の日本企業が、社内研修プログラムを設計するスキルやリソースを持ち合わせていない
  • 回答者の 44% が、継続的な学習を実施していると回答
  • デジタルスキルのトレーニングプログラムに投資している日本企業は 42%
  • 企業が求めるデジタルスキル TOP 3
  • AIを活用して仕事をする能力
  • データの安全性とセキュリティに関する知識
  • ソフトウェア開発/プログラミング
  • データサイエンスとデータ管理に関するスキル(同率 3 位)

 

サステナビリティが当たり前の前提に

顧客、従業員、投資家から、よりサステナブルな会社のあり方が求められる中、サステナビリティがモノづくり産業の優先事項となっています。それによって、企業全体のサステナビリティに対する姿勢が変化し、行動が喚起されており、ビジネスリーダーはエネルギー効率化、材料削減、よりサステナブルな業務に投資しています。企業は製品やプロジェクトの概念段階でサステナブルな成果を中心に据え AI を活用しています。

また現在、サステナビリティは人材獲得にも影響しており、企業はサステナビリティ向上のコミットなくしては、Z 世代の人材を採用することができません。

グローバル全体の結果

  • 調査対象のほとんどすべての企業(97%)がサステナビリティ向上の対策を講じている
  • ビジネスリーダーや専門家の 69% が、サステナビリティは短期的な事業の成功に貢献していると回答し、昨年の調査から 25% 増加
  • 回答者の 87% が、サステナビリティの取り組みの強化が長期的な経営判断に貢献すると考えている
  • 回答者の 78% が自社のサステナビリティの取り組みに誇りを持っていると回答

グローバル全体の結果と同様に、日本でも 96% の組織がサステナビリティ向上のための措置を講じており、これはサステナビリティ向上の重要性に関する地域横断的なコンセンサスを示した数字と言えます。日本企業のサステナビリティへの取り組みについては、単に広く普及している方法を採用するのではなく、それぞれの環境で効果的な方法のみを選択して取り組んでいることが結果からも伺えます。また今回の調査では、4 割強のビジネスリーダーや専門家らがサステナビリティへの取り組みが人材の獲得と定着に役に立ち、仕事の満足度に影響を与えると回答し、サステナビリティが従業員エンゲージメントに好影響を与えていることが判りました。

日本の結果

  • 96% の日本企業がサステナビリティ向上のための措置を講じている
  • ビジネスリーダーや専門家の 48% が、サステナビリティは短期的なビジネスにとって有益であると回答
  • 長期的には、回答者の 66% がサステナビリティはビジネスに有益であると考えている
  • ビジネスリーダーや専門家の半数が自社のサステナビリティへの取り組みに誇りを持っている
  • 44% の日本企業がサステナビリティへの取り組みが人材の獲得と定着に役立つと考えている
  • 回答者の 42% が、サステナビリティへの取り組みが仕事の満足度に影響を与えると回答

(※)参考:サステナビリティを推進するために企業で実施した取り組み

 

この調査レポートの完全版は、こちらのページよりダウンロードできます(無料)。

 

参考文献

(※1)World Economic Forum

(※2)Statista, Statista, Oxford Economics & PWC

 

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