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オートデスク ニュース

コネクテッドインフラが切り拓く、水レジリエントな未来

水インフラは、私たちの生活において極めて重要でありながら、多くの人の目に触れることのないシステムです。道路の地下や浄水施設の内部に存在し、公衆衛生を守り、経済活動を支え、気候変動への適応力(レジリエンス)を下支えしています。その重要性は、問題が発生したときに初めて認識されることが少なくありません。

しかし、このように建設環境の中核を担う水インフラは、依然として分断されたエンジニアリングワークフローのもとで管理されているケースが多く見られます。

インフラのライフサイクル全体で水に関するデータを繋ぐことで、計画の高度化と長期的なパフォーマンス向上が実現します。

流出解析や水理モデリングは土地開発やインフラ計画に不可欠ですが、計画・設計・施工・運用といった各フェーズ間でプロセスが断絶していることが一般的です。各プロジェクトのフェーズごとに個別にモデルが構築され、データはツール間を移動し、重要な意思決定の前提条件がプロジェクトの進行に伴って十分に引き継がれない場合もあります。こうした分断は、可視性の低下、意思決定の遅延、そしてレジリエンス確保の困難さにつながります。

世界水の日(3 月 22 日)を経て、今改めて重要なのは、単に水インフラへの投資を拡大することではありません。インフラのライフサイクル全体を通じて、データと意思決定をつなぐことです。そして、その変革はすでに始まっています。

水インフラにおける転換点

水インフラは現在、気候変動の激化、老朽化した資産、人口増加、そして規制強化といった複雑な課題に直面しています。追加的な対策が講じられなければ、世界の主要沿岸都市における年間洪水被害額は、2050 年までに約 1 兆ドルに達する可能性があります。

各国政府は過去に例のない規模で投資を進めていますが、これらの投資の成否を左右するのは資金だけではありません。インフラの計画・実施・管理のあり方を規定する政策やインセンティブも同様に重要です。

現代のレジリエントな水インフラには、初期設計から数十年にわたる運用に至るまでのデータの連続性が不可欠です。この連続性を実現するために、規制や標準化の枠組みが重要な役割を果たします。

計画モデルと運用データが分断されたままでは、あるいは施工段階の知見が長期的な資産管理に活かされなければ、事業者は不完全な情報のもとでリスク対応を迫られます。今、業界に求められているのは、ライフサイクル全体で共有される知見です。

建設環境における「つながる水」

水は建設環境のあらゆる階層を流れています。開発密度は排水パターンに影響を与え、道路設計は流出量に影響し、施工工程は長期的な性能を左右します。また、運用上の制約は、着工前の設計段階から考慮されるべきです。

業界におけるデータからも、水管理がインフラ設計においていかに中核的な要素となっているかが明らかになっています。オートデスクが今後公開予定の「デザインと創造の業界動向調査」レポートの一環である交通分野のスポットライトレポートによると、交通分野のリーダーの 99% が水管理の重要性を認識しており、69% が水関連リスクの重要性が設計判断において高まっていると回答しています。

実際に、テキサス州交通局(米国)では、排水システムや回廊計画といった道路設計の意思決定が、地域社会の雨水管理や洪水リスクに大きな影響を与えることが指摘されています。交通インフラと水インフラを相互に関連するシステムとして捉えることで、影響を早期に予測し、長期的に高いレジリエンスを持つインフラを構築することが可能になります。

英国では、Severn Trent Water 社がデジタルモデリングと分析を活用し、土地利用や排水、長期的なインフラ性能など、水ネットワークと周辺環境の関係性をより深く理解しています。水インフラを単独のネットワークではなく、より広範なエコシステムの一部として捉えることで、計画・設計・運用における意思決定の質を向上させています。

また、水理モデリングも進化しています。かつては設計検証のための工程であったものが、現在では極端気象、人口増加、設備故障などのシナリオを事前に検証できる意思決定基盤へと変化しています。これらのモデルが GIS データや施工情報、リアルタイムのシステムデータと連携することで、インフラの実際のパフォーマンスを反映した共通基盤が形成され、より高度な投資判断や計画策定が可能になります。

オートデスクの水分野ソリューションにおいて、プロダクトおよびエンジニアリングを率いるキース・ミューラーは、次のように述べています。

「レジリエンスの先進企業は、単に優れたモデルに投資するだけでなく、設計、資産情報、運用を統合した意思決定環境を構築しています。この連続性がライフサイクル全体で維持されることで、インフラは気候の不確実性に受動的に対応するのではなく、先手を打って適応できるようになります」

コンセプトから現実の成果へ

ライフサイクル全体を統合するこのアプローチは、すでに世界各地で実践されています。

オーストラリアの SA Water は、リアルタイムのネットワークモデリングを運用プロセスに組み込み、シミュレーションと実際のシステム挙動の連携を強化しています。これにより、ネットワーク性能の可視化が進み、より的確な運用および投資判断が可能になっています。

スペインの Aguas de Alicante はデジタルツインを活用し、システムの可視性を高めるとともに、資産データと性能データを意思決定に活かしています。

また、Jacobs のようなエンジニアリング企業は、1 次元および 2 次元の統合水理モデリングを用いて、トロント市の雨水リスク管理を支援しています。Woodborough Park 地区では、地下貯留施設の必要容量を 35% 削減し、約 250 万カナダドルのコスト削減を実現しながら、洪水対策目標を達成しました。

さらに、Orange County Sanitation District では、設備の更新戦略を単なる経年ではなく、システム挙動や影響度に基づいて決定しています。データ駆動型の資産分析により、信頼性と長期性能への影響が最も大きい領域に投資を集中させています。

水インフラのデジタル化と接続がもたらす変革をご覧ください(英語字幕付き)。

これらの事例に共通するのは、システム挙動のモデリング、リスク分析、設計意図と運用性能の連携を可能にするツールはすでに存在しているという点です。差別化要因となるのは、それらのデータを計画・設計・施工・運用の各フェーズでどれだけ効果的に統合できるかです。

モデリングが施工に活かされ、施工データが運用に引き継がれ、運用の知見が次の設計に反映されるとき、レジリエンスは「対応型」から「蓄積型」へと進化します。

よりつながる未来へ

これからの水インフラは、それを構成するシステムと意思決定がどれだけ連携しているかによって定義されます。

計画データ、設計モデル、施工管理、運用システムがクラウド上でつながることで、情報は資産の数十年にわたるライフサイクル全体を通じてシームレスに流れます。AI はパターンの可視化やリスクの早期特定を支援しますが、その価値はデータの質と連携性に依存します。

業界にとっての成長機会は、水を独立したユーティリティとしてではなく、インフラエコシステムの一部としてデジタル統合することです。

世界水の日(3 月 22 日)を機に、複雑化する環境下でこれらのシステムを支えるエンジニア、プランナー、オペレーターの重要な役割に改めて目が向けられています。普段は見えない存在でありながら、水は都市の成長と持続に不可欠な役割を果たしています。

その役割を将来にわたって維持するためには、背後にある「つながり」を強化することが重要です。都市を支える地下のインフラが、都市そのものと同様にレジリエントで適応力の高い存在となるために。

※本記事は、米国 Autodesk 社が、2026 年 3 月 19 日(現地時間)に発表したニュースブログ記事を抄訳、再構成したものです。

執筆:Autodesk Inc. ビルディング&インフラ設計 プロダクト開発担当バイスプレジデント/ダン・ローメイヤー

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