建築分野で第 4 位にランクイン——脱炭素社会の実現に貢献するカーボン解析ツール群を高評価
米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/プレジデント兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト、以下、Autodesk)は、米国ビジネス誌『Fast Company』が発表した「Most Innovative Companies 2025(世界で最も革新的な企業 2025 年版)」において、建築カテゴリで第 4 位に選出されました。評価対象となったのは、同社が展開する建築・エンジニアリング・建設業向けの製品群に実装された、「Total Carbon Analysis for Architects(建築家のためのトータルカーボン解析)」※1と呼ばれる革新的なカーボン解析ツールです。

昨年春にリリースされた本ツール群は、建築物の設計段階から運用フェーズまで、ライフサイクル全体にわたるカーボンフットプリントの可視化・最適化を可能にし、グローバルでの持続可能な建築の実現に向けた具体的なソリューションとして、高く評価されました。
建築物におけるカーボン排出量は、大きく以下の 2 つに分類されます:
- エンボディド カーボン:建物の新築・改修に伴い、材料の製造、輸送、施工などの過程で発生する温室効果ガス(GHG)排出量
- オペレーショナル カーボン:建物の運用段階における暖房、冷房、照明、電力使用などに伴う排出量
これらの排出量を設計段階から考慮することで、より持続可能な建築設計が実現可能になります。
しかし、実際にはカーボン排出量の正確なデータが活用されている新築プロジェクトは、世界全体でも 1% 未満にとどまっており、情報の可視化と活用が大きな課題となっています。こうした課題を解決すべく、Autodesk は設計者がプロジェクトの初期段階からカーボン排出量を把握し、設計に反映できるツールを提供しています。
具体的には、建築初期段階での意思決定を支援する「Embodied Carbon Analysis(エンボディド カーボン解析)」を、同社のクラウドベースの設計ツール「Autodesk Forma®」に実装。さらに、BIM ソフトウェア「Revit®」に連携するかたちで、詳細設計段階におけるカーボン排出量の可視化・比較・分析を可能にする「Autodesk Insight」を提供しています。
- Embodied Carbon Analysis (Autodesk Forma)
設計初期段階において、建物の形状・構造・建材の選択が及ぼすカーボン排出量への影響を予測・分析するツールです。Autodesk AI と、気候テクノロジー企業 Scale との協業により開発されたカーボン排出量予測エンジンを活用し、設計初期段階での脱炭素化を支援します。 - Autodesk Insight (Revit)
Revit と統合されたこのツールでは、エンボディド カーボンとオペレーショナル カーボンのバランスを視覚的に評価し、最適な選択肢を導き出すことができます。設計者は、建物全体の持続可能性を定量的に把握しながら、意思決定を進めることが可能です。
これら 2 つのソリューションを統合したワークフローが「Total Carbon Analysis for Architects」です。直感的なダッシュボードにより、両カーボン排出量のトレードオフを簡単に比較・検討できるため、プロジェクト初期からカーボン排出量削減を主眼とした意思決定を可能にします。
Autodesk FormaのEmbodied Carbon Analysis の開発には、気候テクノロジーのスタートアップである C.Scale との協業も大きな役割を果たしました。C.Scale は、設計初期段階におけるカーボン排出量の予測エンジンを開発。これにより Autodesk Forma 上で、材料や構造の選択によるカーボン排出量の差異を視覚的に確認できるようになりました。
C.Scale 共同創業者のジャック・ラスク氏は次のように述べています。
「Autodesk Forma に C.Scale の解析エンジンが統合されたことで、設計者は複数の設計条件に基づいたカーボン排出量の影響をリアルタイムで確認できるようになりました。これは、一部の先進的な設計事務所だけでなく、あらゆる設計チームが初期段階から脱炭素に取り組める環境を整えるという意味で、非常に大きな前進です」
また、サステナブル建築において米国を代表する設計事務所のひとつであるLake|Flato も、同ツールの有用性を実感しています。設計テクノロジー部門の責任者であるダン・スタイン氏は次のように述べています。
「Autodesk Forma と Autodesk Total Carbon ワークフローを併用することで、都市計画からスキマティックデザイン(概念設計)、さらに詳細設計へと一貫してカーボン排出量を把握・追跡できるようになりました。AIA(米国建築家協会)の 2030 チャレンジの署名事務所として、当社はすべてのプロジェクトでカーボン排出量削減に取り組んでいますが、これらのツールはその活動を加速させる強力な支援となっています」
Autodesk のチーフ・サステナビリティ・オフィサーであるジョー・スペイカー氏は、今回の受賞について次のように述べています。
「気候変動の影響が加速度的に拡大する中で、業界にはカーボン排出量削減とレジリエンス(回復力)を両立する設計が求められています。Total Carbon Analysis は、持続可能な設計と意思決定を実現するツールとして、建築業界の脱炭素化に向けた大きな一歩です。私たちは、サステナビリティは“一社だけで実現できるものではない”と考えています。これからも、お客様やパートナー企業と協働しながら、データを解放し、持続可能な未来への道筋を築いていきます」
今回の Fast Company による評価は、単なる技術革新にとどまらず、Autodesk が設計・建築業界全体の脱炭素化に向けてどのような社会的貢献を果たしているかを示す象徴的な出来事といえます。Autodesk は今後も 2030 年までのネットゼロ実現を目標に掲げ、グローバルでのサステナビリティ推進に尽力していく方針です。
※1 Total Carbon Analysis for Architects は、英語版のみの提供となります
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■Autodesk, Inc. /オートデスクについて
1982 年に設立した Autodesk は、米国サンフランシスコに本社を構え、現在世界約 40 カ国・地域で事業を展開している「デザインと創造」のプラットフォームカンパニーです。サステナブルな建築物から次世代自動車、デジタルファクトリー、最先端技術を駆使した映画やゲームにいたるまで、ありとあらゆるものづくりのデザイン・設計・創造をテクノロジーの力でサポートしています。建設、製造、メディア & エンターテインメント業界における業務の効率化・自動化を促進する業界に特化したソリューションを搭載したインダストリークラウドを提供するほか、部門間のみならず業界全体の連携を実現し、業務プロセスを横断的にサポートする「デザインと創造のプラットフォーム」を展開し、より良い未来を築くべく、新たな可能性に挑戦するすべてのイノベーターを支援しています。詳細については、https://www.autodesk.com/jp をご覧になるか、Autodesk のソーシャルメディアをフォローしてください。 #MakeAnything