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オートデスク ニュース

夢と希望と魔法の BIM の国 Autodesk University ~レポート 4 Autodesk University 2022 魔法の国の夢の続き・・・~

夢と希望と魔法の BIM の国 AU(Autodesk University)では、それぞれの興味に合わせて自分なりの情報収集を行うことができます。私の欲しい情報のひとつは、「ISO19650 などの BIM プロセスについての活用やその展開などについての情報」です。今回は、AU 2022 魔法の国の番外編として、BSI の伊藤が、どのような情報収集を行ったかということを、ご説明してみたいと思います。そして、その夢の続きとして、2022 年 10 月末に私自身がお話しする 2 つのセミナーについてもご案内をさせて頂こうと思います。

基調講演で感じたこと

AU 2022 の基調講演では、Autodesk Forma という考え方が発表されました。これは建設業界のクラウドプラットフォームで、製造向けは Autodesk Fusion、メディアとエンターテイメント向けは Autodesk Flow という、それぞれの業界に特化した 3 つのクラウドプラットフォームのひとつです。これは、クラウドに BIM モデルを入れることで、その情報を様々な形で連携し、活用できるという考え方です。これをプラットフォームにすることで、建設業の設計施工のために作られたデータが、建設 DX やデジタルツイン、メタバースの情報として活用できるという将来像も明確に見えてくるように思えました。

<基調講演での Autodesk Forma についての説明する Autodesk のアンドリュー CEO>

しかし、そういった使い方をするためには、BIM モデルのデータ品質も今よりずっと高いものが要求されるのではないかと思われます。品質の高い情報を作るために、情報マネジメントプロセスにより、意図する BIM モデルを確実に作る必要があります。それが ISO19650 で示されている BIM プロセスだと思います。例えば、共通データ環境としてクラウドに情報コンテナを入れるという概念も、こういった方向に繋がるものになるのではないか、なんて想像したりするのも楽しいですね。

ISO19650 関連のセッション

AU 2022 にも ISO19650 に関連するセッションもあります。そのひとつを受けてきたのでご紹介しておきます。発表者は、カナダの設計事務所 DIALOG という会社の Krigh Bachman という方です。

タイトルは、「I Got 19650 Problems – but the BIM Ain’t One」です。どう訳していいのか悩みますが、「ISO19650 は難しいと思われているけど、BIM にとって役立つものです」というようなニュアンスだと思います。

<Krigh Bachma さんのセッション>

最初はISO19650 については、一通り基本的な考え方やプロセスについて説明がありました。情報要求事項が起点となり、EIR や BEP などにより BIM における計画策定を行い、その計画により共通データ環境による協働生産によって PIM を納品するという情報マネジメントプロセスです。当たり前ですが、国際規格である ISO19650 は全世界で共通のものであることを再認識しました。

そこで印象的だったのは、下図のように Assets という言葉を Digital Twin に置き換えて説明されていたという事です。

<ISO19650 のプロセスについての説明>

設計施工で作られて BIM モデルなどの PIM などと共に、運用データと組み合わせて AIM を作り、これをデジタルツインとして活用しようとする考え方です。

<デジタルツインのためのフレームワークとしての ISO19650 ※AU 2022の発表資料より>

これは私も研究している内容であり、とても興味深く話を聞きました。このように、自分が BIM に関する何らかの課題を抱えていて、それらのヒントが欲しいと思ったときに、こういったセッションでの海外での発表は有難いものです。

EXPO 会場で出展されていた plannerly

先ほどのセッションの中で、ISO19650 情報マネジメントプロセスは複雑なので、これをサポートするツールも有効であるという話がありました。

<ISO19650 をサポートするツールについての説明>

ここで紹介されていたツールの内、plannerlyについて、以前から活用できないかと検討しているので、彼らの EXPO(展示会)ブースに行ってみました。

<EXPO 会場のplannerlyブース>

そこでは、クライブさんやルーイさんが、plannerly の基本的な機能や、最近公開されたばかりのバージョンアップされた機能などを説明してくれました。Youtube で、彼らの話を時々聞いているのですが、実際にお会いした感じもすごく明るくてフレンドリーな方たちでした。

plannerly は ISO19650 に対応するツールとして、EIR や BEP の管理文書を作成・共有化できるだけでなく、BIM360 を通してモデルを取り込んで、スケジュールや役割などの割り当てができるようなツールです。応用技術では、この会社のパートナーとして、このツールの展開を進めようとしているようです。

このように、自分の興味のある内容によって、様々な情報収集が可能となるのが、AU です。

夢の続きとして、ISO19650 関連の日本のセミナー

AU の夢の続きというのは、おこがましいですが、ISO19650 については、私も日本でのセミナーをやりますので、少し紹介させてください。

その一つは、2022 年 10 月 26 日(水曜日)に開催される、応用技術・トランスコスモス共同主催でオートデスクが特別協賛する「Insight & Solution セミナー 2022」(オンデマンド配信)です。

ここでは、「ケーススタディ【O-6】 実践に役に立つ BIM 実行計画の作り方 ~EIR と BEP により正しい BIM の業務を企てよう~」という内容です。

ISO19650 の EIR は Exchange Information Requirements であり、これがどのようなものかを説明したうえで、現状の日本で活用するには EIR をどのように考えたらよいのかを説明します。その上で、BIM 実行計画(BEP)をどのように作ればよいかを説明する内容になっています。EIR や BEP は BIM プロセスにおいて、必ず必要となるものだと思っています。少し難しい内容ですが、是非参考にしてください。

<EIR と BEP のプロジェクトにおける活用イメージ>

もう一つは、2022 年 10 月 28 日(金曜日)に開催される「アーキフューチャー2022」です。オートデスクが、ゴールドスポンサーとして協賛している本セミナーは、TFT ホール(東京・有明) でのライブセミナーになります。我々の発表は 11:15~11:45 です。

内容は「テクニカルフォーラム D-1 ISO19650実践的な活用への挑戦 ~美保テクノス・応用技術・BPIの共同研究報告」というものです。

このセミナーでは、長年 BIM に取り組んでおられる地方ゼネコンである美保テクノス様が、ツールとしての Revit の活用は進んできけど、プロセスがないことが成果に繋がらないということに気づき、どのようにして BIM プロセスを導入すればよいかという研究の内容を説明するものです。下図のように、BIM プロセスを導入した方が、BIM によるメリットが発揮することができています。

このセミナーでは、私だけでなく、美保テクノスの皆様と共にお話をさせて頂きます。ISO19650 の概念は理解できるけれども、実務での活用は難しいと考えられているような方に、参考にしてほしい内容です。

<設計 BIM プロセス導入効果の検討>

夢と希望と魔法の BIM の国 AU に参加された方は、皆さんとても楽しく、沢山の情報を抱えて帰国されたのではないかと思います。しかし、それらの情報をどのように活用するかを考えねばなりません。すぐに活用できるものも、ずっと先の活用になるものもあるでしょう。

日本でも、応用技術の「Insight & Solution セミナー 2022」や、「アーキフューチャー2022」にも、様々なセミナーが用意されています。AU の内容をベースに、日本での BIM の取り組みなどの情報収集するのもよいと思います。

ISO19650 や BIM プロセスについては、応用技術の「Insight & Solution セミナー 2022」で、私だけでなく、下記のように複数の発表が用意されています。ご興味がありましたら、参加してみてください。

  • 【O-22】BIMの真価を引き出す BIM プロセス支援
  • 【O-30】徹底解説 ISO19650 実践編
  • 【O-8】BIM 規格、ISO19650 に対する英国規格協会、BIM 認証サービス、国内外の現状について

・・・そして夢は続く

AU で示された Autodesk Forma などのソリューションは、次第に世界に広がってゆくでしょう。我々も、このような考え方を取り入れて、実務に役立てるかを考えねばなりませんが、まだ日本の BIM レベルは低く、このままでは対応することは難しいと言えます。次の AU まで、我々はそれぞれできることに取り組み、来年再度ここに行くことで、その 1 年の活動を振り返り、再度目標を定めるといったことを繰り返して、日本の BIM レベルを底上げしてゆくことも必要だと思います。

執筆者:株式会社 BIM プロセスイノベーション/伊藤久晴

 

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オートデスク株式会社 コミュニケーションズチームです。企業情報、製品・サービスからテクノロジーやパートナーシップまで幅広いトピックに関する記事をお届けします。

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