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オートデスク ニュース

DX 実現をサポートするプラットフォーム戦略

上級副社長 最高技術責任者ラジ・アラスが語るオートデスクのプラットフォーム戦略

2 年前にオートデスクの最高技術責任者(CTO)となった私が最初に驚かされたのは、この業界ではプロジェクトの実行に 10 回もクリックする必要があり、ファイルを実際に移動している、ということだ。

私がこれまで経験してきた E コマースやリテール、決済やフィンテックの世界では、チェックアウトの後はカードやスマホをかざすだけで、ワンクリックで全てが終了する。そうした業界で使われているテクノロジー、とりわけ「プラットフォームによるアプローチ」を採用することで、この業界にも新たなソリューションをもたらせるだろう。オートデスクは、それを「標準化データコア」、つまり設計から製造・施工、運用まで同じバージョンのデータが使われることで実現しようとしている。

 

プラットフォームによるアプローチ

全てのフェーズで同じデータが使われるようにすることが重要であり、そのためには巨大なファイルを移動するのでなく、「粒状データ」を扱えるようにする必要がある。それにより、現在はファイル内にロックされているデータがクラウドでコネクトされ、そのデータにいつでも、どこからでもアクセス可能となる。

また、セキュアなアクセスも重要だ。例えば建設プロジェクトの場合、現在は施工者やサブコン、サードパーティ各社へファイルを送る必要があるため、知的財産権やセキュリティの懸念が存在している。ファイル全体でなく粒状データを共有するメカニズムを提供することによって、セキュリティの向上も実現する。これが我々の目指す、プロダクトライフサイクルにおける「デジタルスレッド」だ。

現在のチーム連携は計画から設計、製造・施工、運用へと進む直線状になっており、それぞれのフェーズでやり方は異なっている。そしてフェーズ間ではハンドオフが行われることでデータの損失が起き、手戻りが発生するので、これを変える必要がある。ここで重要なのは、今後の労働力となる若い世代は、この変化が迅速に行われることを望んでいるということだ。彼らは、それをともに実現し、同じチーム内でプロジェクトに取り組み、しかもそれらを同時に行いたいと考えている。こうした放射状のコラボレーションは、彼らのモチベーションにもなる。

また彼らは生産性を望んでいる。間違いやハンドオフを好まず、プロセスが迅速で、かつ同期して進むことを希望しているのだ。現在、オートデスク社内でも、複数の部署、複数の人々がどこからでも製品を使えるよう、製品をよりコンカレントなものとし、またそうした体験を全ての製品で提供できるようにするための方法を議論されている。

それがデスクトップやモバイル、VR ヘッドセットなど、あらゆるデバイスで体験できることも重要だ。設計したものに没入体験でき、その設計がどう機能するかをシミュレーションできる体験が提供される未来は、それほど遠いものではないだろう。

「信頼できるパートナー」となるためのメカニズム

オートデスクは、顧客のプロジェクトライフサイクルの、あらゆる段階で信頼できるパートナーでありたいと考えている。そして、それを幾つかの異なるメカニズムで完成させようとしている。その方法のひとつが企業買収で、過去2年の間に、建築・エンジニアリング・建設業(AEC)におけるコンセプトデザインの Spacemaker、バーチャル空間での設計コラボレーションを行う The Wild、メディア&エンターテインメントのプリプロダクションに特化した Moxion、建設関係の見積もりを行う ProEst などを取得してきた。

パートナーシップやアライアンスも行なっている。例えば昨年 11 月にニューオリンズで開催した Autodesk University では Epic Games との戦略的な提携をアナウンスしており、近日中に Revit で、Epic Games が提供する没入体験へ統合可能となる。また製造業では、Schneider Electric や Ansys ともパートナーシップを締結している。

もちろん自社開発にも精力的な取り組みを継続している。例えばデジタルツインのソリューションとなる Tandem を開発しており、そのために厳選したオーナーとのコラボレーションを行なっているところだ。

このように充実した製品ポートフォリオの展開、買収やパートナーシップを行っている一方で、我々の顧客がオートデスク以外の製品を使われることも理解している。そのため、Autodesk University では、コンセプトデザインで人気のある Rhino から Revit へのコネクタもアナウンスしている。これは他社製品のユーザーを Autodesk 製品へ接続できるようにするものだ。

また、企業によっては建設だけでなく製造も手掛けており、両者の連携に Tekla などを使用したり、購買システムとしてバックエンド ERP を使ったりしていることもある。Autodesk Platform Services(旧称 Forge)は、それらを連携する方法を提供する。このプラットフォームの API や SDK への投資も継続して行なっていく。

今後オートデスクはデータ連携、チーム連携、ワークフロー連携にフォーカスし、それを新しいプラットフォームと既存の製品を通じて展開していく。それは、もちろん一夜で実現できるものではなく、そのためには日本をはじめ世界中の顧客の声を聞く必要がある。それぞれの業界では何が重要であり、そのプロセスをどのようなフェーズで進めていくべきかについて、さらに多くを学んでいきたいと考えている。

DX は大変で時間がかかるものであり、そこにはプロセスや人、プラットフォームなど、あらゆる問題が待ち受けている。そしてオートデスクは、そうした問題を解決するための、信頼できるパートナーになりたいと考えている。我々はリサーチを行うリソースを持ち、今後のテクノロジーの動向を探り、世界中の業界エキスパートや大学との共同研究を行なっている。そして何よりも重要なのは、その充実した情報が、皆さんにどんな意味を持つかということだ。そのために会話を行い、一緒に DX ジャーニーを続けていくのを楽しみにしている。

著者:上級副社長 兼 最高技術責任者/ラジ・アラス

 

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オートデスク株式会社 コミュニケーションズチームです。企業情報、製品・サービスからテクノロジーやパートナーシップまで幅広いトピックに関する記事をお届けします。

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